「あらびき表示にしては粗すぎる」とあらびき団が食品衛生法違反で検挙

現在における私の週の一度のお楽しみといえば、看守の配給と『あらびき団』である。『エンタの神様』はもちろん、お笑い番組というよりお笑いブームから漏れた芸人を一手に引き受けるこの演芸セイフティネット、カルト芸人フェチでありスベリマニアの私からすると非の打ち所が何ひとつない。それなのに放送曜日はいまだ覚えられないし、見終わった瞬間HDDから消去するのに一切躊躇しなくて済む、正統の深夜番組なのである。
さて開始数回を重ねて、このカオスにもいよいよ秩序というかひとつの傾向が生まれ始めた。それはコンビ芸人の片割れによる参戦がだんだん顕著になっていること。ハローバイバイ・金成、天竺鼠・川原、とろサーモン・村田……それも「コンビとしてネタでは使えない特技があるので見てください!」とでも言いたげなミクロ芸の発表ではなく、完全にR-1ぐらんぷりを見据えて一山当てたがる”山っ気”の現れでしかないのがすごい。そんな十分すぎるやる気にもかかわらず、ネタは誰もが2回戦で叩き落されそうなクオリティを堅固に維持。まるで「今すぐテレビには出れるからR-1の本選出場はあきらめる」と、人生ゲームの就職コースを選ぶがごとき契約を悪魔と交わしたかのようだ。もし私が彼らの傍にいたら「その水道、いくらコックをひねってもジュースは出ないよ!」と胸の内からそっと無音でささやいてあげたい。
そして先日。「今回はどの片割れが出るのかな?」と画面を眺めていたら、まさかの品川庄司・庄司智春が登場した。どう考えてもいわゆる若手とは一線を画し、特にあくせくアピールするポジションではない。何を披露するのだろう……と不安で目を細めていると、案の定、全身ローション&白パン一枚で肉体を誇示した庄司は、次々と現れる超若手芸人たちのTシャツをビリビリと破いてはなぎ倒していく。その「この現状をなんとかしたい」という山っ気だけはチョモランマ級なのに、一人ではないのでもはやR-1の出場資格すらない。そして処女小説出版を3日後にひかえてこの荒業。私は久しぶりに”男”を見た気がした。庄司がひねる水道からはローションが流れていた。飲めるもの流せよ。