ハレンチ寄席2(浅草木馬亭)

落語業界の暗黒世界を一手に担う面々見たさに会場に向かうと、この日の興行は日本唯一のエロバラエティチャンネルによる収録とのこと。その「パラダイステレビ」、手渡しされたタイムテーブルに記されたおもな番組は「美人雀士の脱衣マージャン」「街頭にいる占い師のおばちゃんはヤラせてくれるのか?」「ジャパネットはだか」……。こんな品性下劣な放送局が落語とからむと思うと絶望的な気分になる。そして「本当にいた! チンコも掃除してくれるハウスキーパー」企画が気になるあまり、スカパーの加入を検討していると舞台は開幕した。
新年特番ということで唐突に門松が二本置かれた高座では、三遊亭白鳥が自由奔放に座布団を性のツールとして扱う「ソープランドはじめて物語」を披露すれば、立川談笑が「短命」のファックシーンを拡張して熱演し、最後は快楽亭ブラックが政治も宗教もエロも皇室も人種問題も飲み込んだ違法の曼荼羅「オマン公社」で締める。実に出演芸人の5人中4人が演目内に擬似本番を織り込み、「オ●ンコ」の発言数は『スカーフェイス』の「fuck」を軽く超える有様に。公開収録というよりもこの内容をどこまで電波に変換することが可能かを試す、科学技術への問いかけみたいな寄席だった。
さらに正月放送用のため、最後は演者と客が一緒になって「一月一日」を大合唱。あまりの意味のなさとくだらなさに、私は笑った。ということで人より早く年越しをしてしまいました。あけましておめこでとうございます。