『お笑いメリーゴーランド』『爆笑ジェットコースター』『おもしろ射的場』

録画したTBSの『お笑いメリーゴーランド』を再生すると、尺の短いネタや審査員の無責任な加点法など、『爆笑レッドカーペット』に酷似した映像が目に飛び込んできて、「パクリ」「真似」ではなく「偽造」という言葉が頭をよぎる。2時間の番組を早送りで15分で見ようかと思ったら、結局、都合3時間かけて2回見てしまった。面白かったのである。
4組1チームが与えられた3分の中でメリーゴーランド方式に短いネタを披露していくのだが、全15チーム総勢60組の芸人をかき集めたため、嬉しいかな人選が驚くほど荒い。フラフープで水をすくうようなザル・フィーリングだ。そして基本的にチームが所属事務所でまとめられているので、バーターなのか、シベリア文太、キシモトマイ、岩クレイジー(ヒクソン・グレイシーのモノマネ芸人)のテレビでめったに拝めない芸人から、ますだおかだ・岡田、スピードワゴン・井戸田、丁半コロコロ・さがねの同じ瘴気を濃厚に感じる三賢人までが目白押し。『爆笑レッドカーペット』擁する柳原可奈子やフルーツポンチがコンディションを整えて戦地に向かう傭兵なら、こちらの顔ぶれはパチンコにいそしむ休日に緊急召集がかかってあわてて出勤した私服の自衛隊員たちである。
さて昨年末、TBSは『お笑いDynamite!』という同様のネタ番組をゴールデンタイムに2日にわたって放送し、自分の国土に焦土攻撃を仕掛けるごとき不毛の内容で見事一敗地にまみれている。それから3ヶ月後に忽然と現われた『お笑いメリーゴーランド』は全番組の失敗を検討し改めて堅実な作戦を立てた、という形跡が全く見られず、相変わらず『レッドカーペット』をむやみに真似してるのがまたすごい。北京工場で勝手に作っていたコピー商品が発覚&告訴されて、ついにオリジナリティに目覚めるかと思ったら上海に新しい工場を建てるような安直さに惚れ惚れする。『お笑いDynmite!』よりかは急造で番組を作った雰囲気がただよい、審査員が番組宣伝を兼ねての出演であるのもことさらに隠していない。要は適当で、ネジがゆるいのだ。しかし『爆笑レッドカーペット』だって当初は『あるある大事典』の穴埋めで急遽作られた粗製番組だった。雑味がお笑いに生命力を与えるのである。
でもゴールデンのお笑い番組に関してTBSは驚くほどトレンドから遅れて流行を後追いすることがたまにあるから、『お笑いメリーゴーランド』が追随してるのは、同局で四半世紀前に放送していた『ビートたけしのお笑いサドンデス』なのかもしれない。というかあの番組がすでに日本テレビの『テレビに出たいやつみんな来い』の二番風呂番組じゃないか。どうか番組の本当の真意は『あらびき団』スペシャルのための壮大なオーディションであってほしいものだ。