SUPER LEAGUE2008 第4戦(ムーブ町屋ハイビジョンルーム)

今となってはどこでそれを知ったのか思い出せない。しかし知ってしまった以上、無視するわけにもいかなかった。それがこのドクター林オフィス提供の芸人発掘プロジェクト「SUPER LEAGUE2008」(マイクの図を参照)である。
サイトを一望しただけでもヒリヒリとした刺激が肌を刺すが、活動を取り上げた朝日新聞東京版によれば、主宰のドクター林先生は「長年、プロレスのリングドクターを務め、芸能界に知人も多い」「4年前には自らお笑いスクールに通ったこともある」「持ち芸は医学知識とダジャレを織り交ぜた漫談」という生粋のエンターテイナー。その現役内科医が笑いと健康の関係に注目し、若手芸人に発表の場を与えたのが「SUPER LEAGUE2008」なのだという。
降りしきる雨の中、たどりついたムーブ町屋は1階に地元の幼いヤンキーがぼんやりと溜まっている地域密着型のショッピングビル。会場のある4階へ上がると、催事場で使われるような小じんまりしたホールが会場、ではなくて、その楽屋に使われるであろう若干大きめのスタジオが会場だった。
ラジカセから聞いたこともないヒップホップがスコスコと流れ、やがて開演時間の7時に。リングアナを模した司会が名前を呼びあげると、本日出演する芸人が17組、約30名が肩を狭くして舞台上に集結した。首を回さなくても把握可能な客の数は全部で10人弱。私の後の席で幼児をあやしている女性はおそらく出演芸人の身内だろう。
そして前方の席を陣取る審査員が紹介される。どこからどう見ても飲み友達の3人は主宰のドクター林先生と作詞家とITプロデューサー。ここで先生がマイクをつかむと、軽口をひとつたたいた。何を言ったかは覚えていない。ただしそこで出演芸人の漏らした愛想笑いがこの日のピークだったことは、私の脳の奥に深く刻まれている。
さてこの後のライブは「最高」の一言に尽きた。もちろん普通のお笑いライブとして捉えたら見るべきものは特にない。しかし芸人が沈黙に撃沈される光景を愛する私にとっては、皮肉でもなんでもなく「宝箱ってこんな近くにあるんだね!」と少年の笑顔で親指を立てたい気分だ。出演者を一組ずつ熱く語っていくときりがないので、ライブの様子はオフィシャルサイトの詳細なレポートから想像してください。
ただひとつ強調したいのは、「この人たち、テレビで芸人のネタを見た生涯回数が5回で、練習を3回しただけで舞台上がったんじゃないの?」と思わせる芸人が数組いたこと。先生は「笑いは免疫力を高める効果がある」と言うけれど、私の鼓動は終始高鳴りっぱなし。久しぶりに瞳孔も開いた。それと17組の中にオカマキャラが3人、トリを飾ったシンガソングライターの女性が「さっき出来たばかりの曲です」と笑い一切なしの曲「コトノハ」を披露したのも、私の大事な宝物だ。
なおこの「SUPER LEAGUE2008」は月1回のペースで行われ、次回は5月17日に開催予定。私もこの観覧記が漏れて警戒されない限り、また会場へ足を運ぶことになるだろう。もちろんライブ中、何回か真顔で「もう止めようかな・・・・・・」と呟いていた先生の心が折れなければの話だが。アスキム!