路上の草プロレス(仙台・一番町の路上)

LIVE STANDに行くと見せかけてアラバキロックフェスへ行ってきた。曽我部恵一のはじけぶりに膝を折って笑う。あれは「ロック」ではなくて「わんぱく」だ。
会場にはリングが設営され、初日にはセンダイガールズプロレスリングが、2日目はみちのくプロレスが試合をした。特にみちのくプロレスは相当数がリングを囲み、普段プロレスに接していないロックファンがフライングメイヤーひとつに「うお〜」とどよめいていた。いい光景すぎる。
さて仙台の夜、繁華街の国分町に繰り出すとアーケードの通りで上半身裸の男二人が肉体を派手にぶつけ合っている。「はて。Chanko Dining若・仙台支店の販促イベントとして花田勝氏が奉納相撲でもやってるのかな?」と近づいてみると、驚くべきことにタイガーマスクとブラックタイガーが試合をしているではないか。もちろん路上で。それも”ブラックタイガーの覆面”という設定を堂々と無視して、タイガーマスクvsダイナマイト・キッドの試合を忠実にコピーしている模様である。遠巻きに眺める観衆の反応はやや鈍かったが、タイガーマスクが全盛期だった頃、全世界の全男子中学生が習得した見掛け倒しムーブを完成の域にまで到達させた動きはなかなかのもの。というより23時過ぎの路上で自主的にプロレスをしているだけで、もう何ひとつケチをつけるところが見つからない。
試合を終えたタイガーマスクに「何をやってる方なんですか?」とすり寄ると、猛虎は息を整えながら「フリーの芸人です。前はティーライズ(仙台の地場お笑い事務所)に参加してたんですけど・・・・・・」と語る。彼の名前は一條とみ。聞けばいつもは相手のいないエアープロレス芸を中心に行っていて、今日はたまたま元プロレス練習生と遭遇して抗争に発展したようだった。
「よかったら見てください!」と渡された自己紹介チラシが「ブログやmixiもやってます。一條とみで検索どうぞ!」との文面だったので検索をかけてプロフィールを確認したところ、年齢20歳という衝撃の事実が。なぜこの若さでタイガーマスクを? もしかして初代の佐山ではなくて3代目の金本に憧れていたのか? 謎は深まるばかりだが、ブログに記された経歴「2007年9月・エアープロレスを本格的に広める為、過酷な修行が始まる」「2008年2月・宮城県を制覇!」を見るかぎり、何をどう制覇したかはさておいて、半年あまりで東北の100万人都市を掌中に収めたのだから大したものだ。この際、芸名を”伊達”直人に変えちゃえよ! もちろん梶原一騎先生関係との折衝は、私は何一つ役に立てないので個人で頑張っていただきたい。(4月13日に書いた文章と同じオチ)