さくらんぼブービー単独ライブ「ギガンティック」(恵比寿エコー劇場)

6月28日。この日は振り返れば近代お笑い界の記録に残る一日だったかもしれない。というのも銀座の歌舞伎座では立川談志・談春の親子会が行われ、新宿のルミネではダイナマイト関西2008が開幕し、そして渋谷シアターDではサカイストのオールナイトトークイベントが開催されたから。「前者2公演のチケットを取り損ねた」という記憶を「しかしあえて私は小劇場を選ぶのだ」と都合よく書き換えて、恵比寿のさくらんぼブービー単独に向かった。
約半々の比率だったネタと映像は相変わらずどれもとち狂っていて、もう「シュール」だの「狂気」だの「前衛的」だの定義づけるのがアホらしくなる面白さ。普通の芸人は創作と破壊を繰り返して芸風を確立するのに、さくらんぼブービーは創作の数値より破壊の数値が圧倒的に多いのである。それも鍛冶くんが散らかったワンルームをさらに崩壊させていく「スーパーサイヤ人」、鍛冶くんが延々とシャワーを浴びてるだけの「シャワーシーン」、あとタイトル忘れたけど後姿全裸の鍛冶くんがただ川岸を去っていく映像になると、一体何を破壊してるのかすら分からないのだった。
それにしてもテレビでは短い尺のネタ番組がブームなのに、ショートコントの最終形態であるさくらんぼブービーにスポットが当たらないのは何故だろう。もし故『笑いの金メダル』で活躍したイメージを理由に避けているのであれば、田丸麻紀のバラエティ番組撤収を恩赦に出演の禁を解いていただきたい。