第53回トンデモ落語の会(浅草木馬亭)

「黒歴史から足を洗って、志の輔を目指す」と立川談笑がトンデモ落語からの引退を表明したため、”談笑脱北記念”と銘打たれた興行は、張本人がまさかのドタキャン。会場が失望しているところに現れたのは、ボビーなる黒人コメディアンだった。レニー・ブルースから佐久間一行までアメリカのスタンダップコメディ業界に精通している私だが(全ての知識はエディ・マーフィーの映画『LOW』に準拠)、このボビーはまったくのノーマーク。談笑によく似た顔つきのボビーは、黒魔術ではなく(黒人だけに!)ブラック嶋田のような(黒人だけに!)種と仕掛けのある手品を披露し、ブラックアウトしていった(黒人だけに! 黒人だけに!)。とりあえずネタの中に人種差別と政治の笑いが入っていたから、アポロ・シアター即戦力の人材であることは間違いない。
デンジャラスのノッチやザ・ニュースペーパー・松下のオバマ芸に影響された談笑がただ顔を黒く塗りたくったようにも見えなくもないボビーは、「鈴本演芸場に出たい」「次は日暮里界隈でお会いしましょう」の言葉を残すなど、演芸界残留に並々ならぬ意欲がある模様。いっそどこかの一門に入門したらどうだろうか。芸名は立川黒談春とか立川談志LOWとか。黒人DA−KE−NI−!(突然マイクを取り出し「DA・YO・NE」のサビに合わせて絶叫)