キュートン16(シアターブラッツ)

劇場の規模、公演時間がスリムだった今回のキュートンは、出演者も増谷キートン、くまだまさし、椿鬼奴、アホマイルド、しんじのオリジナルメンバーのみ。いつもはニューフェイスが参加することで吉本のアンダーグラウンド部分が継承されていく意義のようなものが感じられるが、今回、全身に食物を貼りつけて北斗の拳ごっこをしたり、会場にめぐらしたチューブで擬似尿を回覧させたりする様は、くだらなさの純度が高く、「これは芸歴10年前後の芸人のやることじゃないな」という感情をしみじみと堪能することができた。
それにしても事務所から半分放逐された芸人が肩を寄せ合って挨拶する「キュートン」のエンディングを見ていると、私はいつも少し泣きそうになる。本当に俺は感受性が豊かでお笑いを愛する素敵な人間なんだな、と今まで悦に浸っていたのだが、今日泣きそうになる理由が「キュートンで流れるガールポップの選曲がいいから」ということに気づいてしまった。選曲もさることながら、椿鬼奴が泰葉の曲「お陽様よほほえんで」のサビからの一連をフルパワーで完全コピーするだけのネタは最高だったなー。勘違いしてた私だけど、今夜は泰葉の「許してあげよう、すべての心を」の歌詞に甘えたい。もちろん責めちゃう時も人間だからあるよ。でもなるたけしないように頑張るよ。私はゆるい生き方が大嫌い! 私は歌で勝負します。みなさん私をゆるくしないで。パパー!