12月中席昼の部(浅草演芸ホール)

先日「中川家の寄席」で聞いた中川家とナイツの浅草トークがあまりに素晴らしかったものだから、鼓膜の奥でずっとリピートしている虫の羽音を「浅草が俺を呼んでいる!」と好意的に解釈し、浅草へ。目当てはもちろん、愛うえお師匠からぶるうたす師匠まで、東京演芸協会所属の魔物が集結する東洋館の「爆笑いろもの演芸行進」だ。
そして劇場を訪れると「本日満員のため、招待券の入場はお断りしております」の看板が。もちろん私のポケットに入っているのは、サザビーズ主催オークションの激しい鍔迫り合いを経て、さっき金券ショップで700円で購入した招待券である。読売グループが浅草公会堂の屋根から招待券をバラ撒いてるとは聞いていたが、こんな制裁措置が取られてるとは! 係員によれば「12時開場なので、招待券の方は11時ぐらいに並んでいただければ・・・。9時から並んでいるお客様もいますので」とのこと。さすが浅草。その説明が全く嘘に聞こえない。
しかしここで当日券を買ったら負けのような気がして、隣の演芸ホールへ向かう。修学旅行生を入れても平均年齢が50歳を超える客層の中、寿限無の単語を生物学用語に変換した三遊亭たん丈の「新・寿限無」が、老人を置いてきぼりにした完成度で目を引いた。あと私の横に大人しく座っていたおばあさんが、あした順子ひろしの漫才と柳亭市馬の三橋美智也メドレーだけは涙を流すほど笑っていて、ちょっと幸せな気分になる。さて要らなくなった東洋館の招待券は、eBayにでも出品しようか。ひょっとすると円高差益で儲けが出るかも!