苦肉祭61「冬の京都で山村紅葉狩り」(nakano f)

M-1グランプリの中道路線が食い足りなかった私は、極右(浅草)か極左(カルト芸人)のライブが見たくなって、左に振り切れた「苦肉祭」へ。中野の民家でピン芸人が狂乱の密室芸をぶちまけるこのイベント、噂だけでお腹いっぱいになっていたが、会場が変わったのを機に潜り込んでみた。
ライブが中盤にさしかかると、主催者である大本営八俵こと米粒写経の居島一平が乱入し、「みなさん緊急事態です! 出演芸人20人のうち、まだ9人しか会場に来ていません!」と緊急アジテーション。大本営八俵といえば芸名が示す通り、現代が皇紀何年かを諳んじることができ、連合赤軍事件を媒介に両親が交際を始めたという、鳥肌実を凌駕するちゃきちゃきの右翼っ子芸人だ。その田母神元幕僚長を十二分に意識した軍服の衣装を見て、このライブが極左ではなくて極右の集会だったことに今さらながら気づく。
さて内容はといえば殿方充、元気いいぞう、飯塚俊太郎、ヘブリスギョン岩月、横須賀歌麻呂など、地下ライブにおけるすべらないオールスターズにくわえて、なぜかムード歌謡歌手の田渕純が自慢の咽喉を披露する中、三平×2は墨を塗りたくったチムコを色紙に押しつけては「チン拓」を少量生産し、力士が手形を配るような顔をして女性客にふるまっていた。つくづく仕事のできる男である。あの色紙は靖国に奉納してほしい。