五反田団「生きてるものはいないのか」(東京芸術劇場)

人が次から次へとわんさか死んで、死が事件から現象へと昇華していく芝居。同作で岸田國士戯曲賞を受賞した際の選評を紐解いてみても、「この作品が求めたのは、累積する死ではなく、死によってしか確かめ得ない「生きていた」ことの軽さ」(永井愛)、「題名は、ダブルミーニングになって「この世の終わり」として還ってくる」(野田秀樹)などなど、全く頷ける話ばかりで、見終わった後にいくらでも形而上的に「死」について考えさせる手立てになるのだが、その一方でただただ表層的に「役者のいろんな死に方を見て笑う」という薄っぺらい見方をしても十分面白かった。というかオーディションで作演の前田司郎が「なんか面白い死に方してよ」と要求して、それだけで役者を採用したと思いたい。分厚くて中身も詰まってるはずなのに口にしてみると分厚いのか中身が詰まってるのかよく分からない、テリヤキサンドみたいな演劇を見た。