上方落語九雀亭(亀戸文化センター・六階和室)

演目は『阿弥陀池』『餅屋問答』『千両みかん』。今回は何より師匠の近況を報告するフリーペーパー「九雀月報」に書かれた話が素晴らしすぎた。偶然、翌日の東京新聞芸能ワイド欄にも同じ話題を取り上げているので、それと合わせて紹介したい。

「東京・両国のシアターXで「第9回・国際舞台芸術祭」がありました。「チェーホフ生誕150週年記念」というサブタイトルがついているこのイベントで、ロシアの大作家・チェーホフの作品を落語で上演する「ちぇほふ寄席」なるものに参加しました」(九雀月報)

「出ばやしとともに、高座に上がったのは、はなし家の柳家小権太と立川志ら乃桂九雀」「企画を意気に感じ、ノーギャラで参加に応じた。」(東京新聞朝刊:平成22年6月17日)

「公演は監修・Tさんの舞台挨拶から始まりました。「落語さん達が、ギャラもない、交通費も出ないこの企画に賛同して下さり・・・」。舞台裏で一同は凍りつきました。九雀「これってノーギャラなん?」。立川志ら乃君「初めて聞きました」。」(九雀月報)

「「熊」を上方の古典落語に大胆に翻訳した九雀は「一から創作することで、落語の本質を考える良いきっかけとなった」と話す。」(東京新聞朝刊)

「(大阪からの経費が)しめて32,490円。チェーホフ原作「熊」を上方落語に直した「後家の本心」で果たしてこれが回収できるのか? お客さんも一杯入っていたのになぁ。あのお金はどこへ流れたんだろう。思わず3千円×150人を暗算してしまいましたよ。」(九雀月報)

墨田区在住の私の記憶が確かであれば、両国界隈は旧態依然とした角界の影響で、確かまだ貨幣制度が発達していなかったはず。東京新聞によれば、「(実行委員長の)上田(美佐子)さんは」「「チェーホフは答えを用意していない。問い続け、生き続けることが大事だと訴えている」と魅力を語る。」とのこと。若手のヒップホップみてーな結論だな!