ネタとトークと芸人将棋(よしもとプリンスシアター)

とある取材でバッファロー吾郎を取材した際、話題は横道にそれて「注目の若手」へ。木村さんいわく、
「最近見てめっちゃオモロいと思ったのは、横澤夏子人力舎所属の巨匠、北京ダックス・・・。みんな集めて『木村祭り』を開催したいですね!」
口をついて出てくるのがあまりにどマイナーなメンツばかりなことに心酔して、「それはぜひ見たいですよ!」と嘘偽りない相槌を打ったものの、「はたしてそんな興行が成立するのか? っていうか北京ダックスって誰?」の疑問だけが永久凍土のように残る。しかし数日後、出演者が発表されたイベント『芸人将棋』は木村祭りそのものだった。三社祭が中止になった今、われわれは木村祭りに行くしかない。
さて抜擢された若手は、お笑い界の片岡スカウト・木村の眼鏡にかなった人材であるから、見ごたえがあるのは至極当然のこと。しかし横澤夏子に至っては一年目というキャリアの陰に「台湾では十年選手でレギュラーを5本持っている」来歴を隠してるのではないかと思うほど、ネタもキャラもしっかりしていた。問題は超若手と一緒に出演したキャリア十幾年のBコースとギンナナである。Bコース・ハブが指を使って両眼を可能なかぎり開き、そこに目だけが存在するキャラ“目ちゃん”を表現した時点で「これはひどい」と膝を打ったが、ギンナナに関しては菊池がブリーフ姿と前後のステップだけで笑いを取ろうとする「単独で披露して即お蔵入り決定」の臭いがぷんぷん漂うロングコントで挑み、これがひどくひどくて本当にひどくて、もう笑うしかなかった。確か数日後に放送されていた芸人タイマン勝負番組『オモバカ』にBコース・ハブが登場した際、アオリVで同期が紹介されていた中、なぜかギンナナはコンビでなく金成だけ紹介されていたのは、この日の出来と無縁でないかもしれない。
はたして夜店が数店出る規模のスプリングフェスティバル・木村祭りは終わった。今は取材の時、木村さんが熱く語っていた「トンファーの座薬入れるネタもオモロかったな〜!」の言葉が気になっている。