シソンヌ単独「シャッセ」(シアターモリエール)

あまりシソンヌについては詳しくないけれど、きっと面白いだろうという予感に突き動かされて単独へ行ってみたら、真綿でじわじわ締めつけるような面白さに軽く昇天する。露骨に乳房の形状をしたスマートフォン「パイフォン」制作発表会見と、服屋に来店した女性客が服に対して「スキになっちゃう!」と理性を失いまくるコントが特に秀逸だった。この二つのコントが示唆するように、シソンヌのコントは大体下ネタか女装がからんできて、どのコントも濡れてヌメヌメしている。
それにしてもじろうの演技スキルが、非常にそして無意味に高いのだった。「パイフォン」では、スティーブ・ジョブズそっくりの格好で現れるまではまだしも、英語のスピーチを内容も発音も完璧にこなし、スキあらば繰り出すトシマの女装は「あれ? 俺、もしかしてヌケるんじゃないか?」と胸をざわつかせる完成度。ものすごい分かりやすく説明すると、「熟女ナンパものAVの高級住宅街編で引っかかるんだけど、でも決してセレブではない淑女(痩身)のくたびれた淫靡さ」なのだ。はて。お笑いのライブについて言及していたはずなのに、俺は何を力説してるんだろう。ここまでくると「やっぱりヌケるんじゃないか?」という疑問より、ヌイてない事実の方が不思議になってきた。「シソンヌ」という不可解な言葉の響きでヌケる気さえしてきた。