ガリットチュウ単独ライブ「ハイ!!ガリットチュウファンです!〜カミングアウト大作戦〜」(シアターモリエール)

夏の終わりの恒例行事で、ガリットチュウ単独へ。吉本創業百周年記念事業の芝居で大阪に呼ばれた熊谷が、大演出家・ハーバー先生(仮名)と対立する様を克明に描いたドキュメントコント「熊谷vsハーバー先生」が良作。タイトルこそ「vs」になっているものの、中身はひたすら熊谷が叱られ、なじられ、工夫したらまた叱られ、結果、否定されて心が折れるというか粉々に砕ける全面降伏戦記である。熊谷が受けた多大なダメージからして、ずんのやす、スギちゃんのように「芸人が大怪我」とYahooニュースのトップで報じられてもいいぐらいだ。
一方で福島は「安田大サーカス団長の奥さん」「昭和のエロ本を集めてる人」「NHKに密着取材されているオナベ」などの新作モノマネを披露。「安田大サーカス団長の奥さん」に至っては、観客の8割がライブ後に画像検索して「あ、似てる」と思ったはずだ。ついにモノマネは「似てる」から、こまかすぎて伝わらないのモノマネの「似てる気がする」、そして新たなステージ「後で各自が調べて「似てたな」と納得する」へ。新時代の扉をこじ開けた福島。その腕力は本当に必要なのか。
はたして見終わってみれば、例年のように多幸感と言うと大袈裟な、少幸感を覚えるガリットチュウの単独。また来年もきっと行われるのだろう。吉本百一年芝居で熊谷が追い込まれて芸人を辞めないかぎりは。