本坊元児と申します(阿佐ヶ谷ロフト)

大阪から上京後、芸人としての仕事がほとんどなく、肉体系派遣労働者としてヘルメットつきの頭角を現すようになったソラシド本坊が、日曜の13時からプロレタリアートーク(飯場の不満)に興じるライブ。以前、千鳥ライブのゲストに呼ばれた時も掘削機だのドカヘルだのシャーパー鋸だの現場用語が新鮮すぎたが、今日も今日とて口をつく言葉が「ガラ出し」「墨出し」「相番」「マンホール洗浄」「ネジ山検査」「首都圏断熱」などで、別言語のような土方ワードにときめきを覚える。
そして休憩を挟むと本坊はスーツで出現し、建築請負会社の就職説明会を唐突に開始した。このリクナビを3万回検索してもヒットしない密室談義は40分に及び、聞き手であるとろサーモン村田をイライラさせ、リクルートスーツのいない会場を唖然とさせていたが、私は「イッセー尾形がピン芸を始めた頃、1時間近くバーテンダーの芝居をして客の顰蹙を買った」という伝説を思い出していた。つまりこの説明会の模写芸を煮詰めて煮詰めて5分サイズに凝縮することができれば、スリムな就職説明会として学生から好評を博すはずである。
不思議だったのは、私の近くにいる女性が舞台を見ながらせっせとメモをとっていたこと。リクナビを3万1回検索すると、あの説明会が案内されるのだろうか。