ある意味、真の東京ダイナマイトは石原慎太郎

M-1グランプリ直前、昂揚で胸がはちきれそうになり、友人から借りた『ベリーベリー! base』のストリークの漫才を見て心をクールダウンさせる。風俗店に行く前に週刊プレイボーイのグラビアで自慰するような心境だ。
さて島田紳助松本人志がいない審査員席は、ご本尊というか大会の実像が不在のように映り、カレーではなくカレー味を食べている気分に。しかしカレー味がカレーより美味しかったりするのは至極よくあることなのである。
私が印象に残ったのは、敗者復活戦の会場中継でフンドシ一枚で踊り狂っていた安田大サーカス・団長と座って眠りこけていたHIROの姿。何回撮影しなおしたのか知らないが、ソフト99のCMで全身金箔なのに完全に目が銀河をさまよっていたのとは対照的な生命力だ。またM-1直前に放送していたアオリ番組では決勝を目指す若手ドキュメントが扱われていて、予選敗退の報を受けたクロちゃんはタクシーの中で嗚咽して零れ落ちる涙を隠さなかった。
その映像にスタジオのフットボールアワー木村祐一は大爆笑。
スキがあれば分かりやすい”勝負−感動”の構図を持ち出して、視聴者の新規開拓を図ろうとする番組側の目論見に背を向けて、我々は笑うしかないのである。相変わらず勝負ネタの勝負概念がカタギの枠から外れるあまり、美しいほどキレイに最下位に落ち着いた千鳥、フリートークもアリネタ開帳気味な南海キャンディーズ、海の向こうのバラエティ番組大陸から一時帰国したようなテンションのアンタッチャブル、往生際の悪い漫才で散っていきながら最後までふざけ続けた笑い飯。そこに笑い以外で心を震わせる要素ほとんどなく、物語が語られにくい、いい大会だったのだなあと思うのであった。
そして開催が4回を迎えて初めて分かる事実もある。それは女性アシスタントの人選に深い思惑はないということだ。