戸籍偽造に整形で生まれ変わった新しい私。でも携帯電話はそのまま

こなすべき仕事が山積みで、充電が半日と持たない携帯電話は買い換える必要に迫られている。宮本輝の『優駿』を読み出したら止まらないし、買ったばかりの中村一義『OZ』はCDトレイに入れたまま。
一体、何から手をつければいいのか? 一瞬すら疎かにできない状況に焦りはつのるばかりだ。そんな折、郵便受けを見ると知人から送られた「オールザッツ漫才」のビデオが。アパ−トの階段を3段跳びで引き返して、そのまま5時間ぶっ通しで見る。
私には確かめたいことがあった。それはラジオでケンドーコバヤシが素で語っていた言葉である。「けもの道がウケるの見て、オレ、あいつらの苦労知ってるからな、舞台袖でちょっと泣きそうになってん……」
会場が笑いで包まれる中、後輩の活躍にそっと目尻を拭うケンドーコバヤシの姿……想像しただけで不覚にも私の胸には熱いものがたぎった。
はたしてビデオを見ると、けもの道が繰り出したのはアニマル浜口親子コントで、上半身裸で太鼓を乱れ打ちしたのち、オチはレスリングでバックを取り合うというアホにも程がある内容。ケンドーコバヤシはピンクローターを股間に挟んで漫談していた。
私は涙が止まらなかった。もちろん宮本輝の『錦繍』を読んで。
今日の結論 本当に忙しい大人はAMラジオを聞いていない気がする。