盗んだバイクで走り出す君はとても暑すぎた夏の自転車泥棒

久しぶりに聴いたユニコーンがやたら心地よく響くので、友人Yから過去にWOWWOWで放送されたツアーのビデオを借りる。
なぜか沖縄市民会館からの中継を見ると、もはやドラムを西川が叩いていない(前半はシーラ・E、後半はZONEのMIZUHOちゃんが参加)。ライブの日付を確認したところ1993年の8月で、実に解散の1ヶ月前ではないか。
そこにバンドとしての一体感はつゆとも存在してなくて、なんでも野球に例えるYいわく「優勝を逃した巨人の消化試合のような白々しさ」が確かにステージ上むせかえるほどに漂っているのだった。力の抜け具合が魅力のバンドとはいえ、握力が全く残っておらずボールを掌にのせているだけのような状態である。果物は腐りかけが一番旨いというが、このバナナは皮を向いたら中身が真っ黒。もはやバナナであってバナナでない。
でもね、これだけは理解してほしい。バンドを解散する傷みはそれを体験した者でなければ分からないってことを……僕? 楽器は鼻づまりの「スピピピー」という音以外に鳴らしたことがないよ。あと曲を作った経験はなくても「9・11以降、詩の書き方が変わったよね」が口癖です。
それはさておき「うまく漬かったから」と実家からキムチが届く。どんなハングルバレンタインだそれは。ドンナバレンタインダ、アンチョンゴスビラ(韓国語適当)。