東京DE桂都丸の落語を聞く会(内幸町ホール)

柳家喬太郎見たさに、いささか逡巡しながら会場へ。特定の落語家を追ってほとんど素養がない上方落語会に足を運ぶなんて、私は”ブームの潮流を感じて落語を見るようになって1年いよいよ趣味を「落語」と称しだして2年後には歌舞伎を語りだすサブカルあがりの妙齢女性”か。ああ自分が恥ずかしい。そう考えているとこの日に喬太郎がかけた演目の題名『夜の慣用句』も、落語会に冠せられた『東京DE』も、全てが恥ずかしく思えてきた。
さてトリの桂都丸は、貧乏人が橋の上から屋形舟を覗いてジェラシーに身を焦がすだけの噺『遊山舟』を。同様にしみったれた江戸落語はいくつもあるけれども、見慣れない見台あり、ひざ隠しあり、鳴り物もふんだんに使って、この進捗のなさ。そのスケールの小ささに胸をくすぐられる。またマクラで都丸は訪れた小学校の落語感想文集を衿から取り出すなど、上方落語家らしいなりふり構わなさを披露。そしてこの師匠、一度ざこば一門を退会後、復帰した経験の持ち主らしい。あのざこばに背いて再び親子の盃を交わす。これはなりふり構わないレベルではなく、もはや堅気ですらないのかもしれない。恥ずかしさのあまり始終俯いていたので、その指先は確認していません。俯いていたのDE。