夏が来る。何年に一度かは江夏が来る

大阪から帰って早速、ハウンドドッグvs大黒摩季の『音楽・夢くらぶ』を見る。予告編がすごすぎたので過剰な期待を抑えていたら、本編は予想以上の仕上がりだった。
まずいきなり「フォルティッシモ」でギラギラ、テカテカと歌う大友&大黒の画面(えづら)に圧倒されて部屋のブレーカーが落ちる。ヒットチャートの一線から離れた二人が発する不必要に過剰なエネルギーは”腐りかけの果実が一番美味しい”といった類の口腔摂取可能なものではなく、見た目は荒地ながら目も開けられない瘴気を発してる感じ。この二人がSEXしたら人類を越えたスーパーヒューマンが生まれそう。鱗もあって四足歩行。でも進化してる。
そして番組の白眉は「ら・ら・ら」だ。大黒は百貨店の家具売場で役職がリーダーの古参OLが結婚式の二次会に張り切って参加したようにしか見えない衣装で登場。そしてスタジオにはスタッフしかいないのにかかわらず、何千人もの客をイメージした豊かな振りと顔芸を駆使して熱唱するものだから、完全に結婚式3次会流れのカラオケボックスにとり残された30代女性たちが午前4時に締めで目を潤ませながら大合唱する風景がシンクロするのだった。これ大黒が結婚していなかったら、放送禁止になるくらいにエグい。
ただ大黒の場合、全盛期にメディア露出を控えていたため、一連の行動が「衰えたゆえに生まれた渋み」かどうかは分からないのだ。もしかするともともとエグかったのかも。曲名を振り返れば「夏が来る」「熱くなれ」「別れましょう私から消えましょうあなたから」……十分エグいか。それはまるで見ただけで唾液が分泌される色の木の実のよう。来週の森山直太郎もすごい色をしている。