ザ・スズナリにリングを入れたら客が入れずノーピープルデスマッチ

先週末、後楽園ホールで「マッスル11」を観戦した。今回は「アメリカンプロレスみたいなアオリVTRを作りたい!」という願いのもと、カメラワークを駆使しリング上で映像を再現。いよいよ昔のシベリア少女鉄道と肩を並べちゃったよ。まいった。
菊地成孔は「ハッスル」の万能感・多幸感を”シャブ”と称する。それに比べたら資本規模が確実に劣る「マッスル」は腐った果実を頬張ったらたまたまアルコール醸造していて酔ったような安くて皮の薄い陶酔だ。そんなプロレスの墓場で茶番を繰り広げるマッスルなのに、見終わった後、私の瞳からは胡乱な涙が流れそうになるのである。あれは何だろう。まったくもってよくわからない。ただひとつ言えるのは、もう感動はプロレスの内側にあるのではない。向こう側に存在しているのだ。
エンディングでマッスル坂井はマイクをつかみ、「来年中にはきっと武道館で!」と声を震わせていた。とても冗談には聞こえないそのセリフ。これからは足立区綾瀬にある東京武道館の予約状況から目が離せない。