SASUKEを完全制覇して不老不死を手に入れよう

これまで自分が『SASUKE』を見ることに対して、納得する答えを見つけられなかった。しかし今は分かる。それは日曜深夜にひっそりと始まった『サスケマニア』に巡りあうためだったのだ。100冊に及ぶSF長編小説を読んで、外伝の方が傑作だったような到達感。それくらい『サスケマニア』は面白い。
まず先週のミスターSASUKE・山田勝己の引退をめぐる攻防を見て、興奮と哄笑でキャンタマ袋の皺が全て伸びた。不調が続き引退をほのめかす山田。その噂を聞いて「山田さんが引退? 早すぎますよ!」「オレが説得して止めてやる」とカメラの前で熱く語るSASUKE仲間たち。山田のアルバイト先である鉄工所に向かうカメラ。姿を見せない山田。山田の実家に向かうカメラ。テレビの前に座り込み画面を凝視する山田。そう、山田が潤んだ瞳で見つめていたのは……仲間のビデオレターではなく、自分が全盛期だった頃の『SASUKE』のビデオだった。やるなあ。山田さん(40歳)、あんたやるよ!
そして今週のSASUKE本大会に向けた鳶職予選もまた秀逸。鳶の正装着に身を包んだ職人たちをSASUKEの聖地・緑山に集め、ズダ袋かついで凸凹道走らせる競技が「TOBI-X(トビ・エックス)」である。なんだか分からないけれど私の脳裏には”エクシダス”という言葉が浮かんだ。
それもテリー伊藤のような「画面が面白いから撮っておけ」というバラエティ番組の延長戦上で勝負してるのではなく、やってることはスポーツを縦軸に家族愛や兄弟対決の横軸をからませるK-1 HERO`Sの方法論そのまんまなのである。それでもって競技が「TOBI-X」。ああ書いてて楽しくなってきた「TOBI-X JAPAN」「プラトニックTOBI-X」「TOBIンティーフォー/シーズンX」。はたして番組の最後には「職業別予選大会開催・参加者募集!」という告知を職業を指定しないまま放送していた。このシナリオの3ページ目までしか埋まっていない感じも最高だ。きっと「職業/ミスターSASUKE大会」で、唯一参加した山田さんが予選を顔パスすることだけ決まっているのだろう。