THE GEESE 第4回単独ライブ「天気の話はしたくない」(THEATER/TOPS)

意外にもトークで始まったオープニングでは、尾関が「今回の公演中に脚を痛めてしまいまして」とギプスをさすりながら謝罪。どこかのコントの前フリだろうと最後まで注視していたら、本当に脚をくじいていたという衝撃の展開に。そんな足枷をしょいながらのコントは相変わらずの安定感で、想像料理教室やサッカー戦略会議風の卒業式コントは、アイディアを限界まで絞って到達点を導き出した匂いがして、大天才でなくても粘ればいいコントが作れることを証明するかのような佳作だった。
なお単独ライブでは、二人の心の深海に潜むウェルメイドな芸風脱却願望を満たすため、一発ギャグからスベるネタが定番化しつつある。もちろん設定やら音響やら巧みなフォローやら、最終的には笑いに結びつく安全装置がいくつも施してあるので、THE GEESEが本質的にスベることはない。しかし本当に芸人としての胆力を鍛えたいのであれば、もっともっと危険を冒すべきだろう。客が見たいのは大竹まことがラジオで語っていた「事務所の後輩であるTHE GEESEを番組のゲストに招いたらトークがあんまりにもダメなもんで、局の喫煙室で本気でシメてやった」光景、ではなくて、それを聞いていたラバーガールの返答「大竹さんにあまりにも怒られたことが原因で、高佐君が熱を出してましたよ」というリアクションなのだから。我々が待っているもの、それは骨が折れるよりも心が折れる瞬間なのである。そんなの見たいの俺だけか。