RG vs ハブ 〜ジャッジ熊谷〜(シアターD)

komecheese2008-05-25

バッファロー吾郎ファミリーの庶子・RGとキワモノ演芸界のミュータントであるBコース・ハブが相見えて、正真正銘の雌雄を決する21世紀初頭にして世紀末ライブ。開始前から客席には業界関係者や芸人がむせ返り、「どれだけプロフェッショナルから注目を集めるんだ!」と胸騒ぎを覚えるが、よくよく見るとポテト少年団・中谷やらしんじやら同じ臭いがする芸人ばかりで、同会場で直前に行われたライブ「熊谷できない組」に出演した若手がそのままコンビニ前で時間をつぶす中学生のように残留しているだけだった。
二人は驚異の100本勝負を延々と行い、その命をかけた攻防は今思い返せるだけでも「ムーンウォーク対決」「親の顔に泥を塗る対決」「思いついた数の大小対決」「おもしろ犯罪者対決」「相田みつを対決」「エアーSEX対決」「シコッてオナッてジャンケンポン対決」「ヤギと性交渉するRIKIYAさんのモノマネ対決」「そのヤギのモノマネ対決」「それを見た内田裕也さんの一言対決」「そのヤギの体内でうごめく精子のモノマネ対決」などなど、どれも名勝負揃い。思いがけない巧妙な演技力で客席をうならせ、「リアル・鮫に喰われる対決」「リアル・鰐に食われる対決」の二勝負を制したRGは続く「リアル・シャチに喰われる対決」で調子に乗って雪崩のようにスベれば、ハブは最前列の女性客に射精するパントマイムを3回も披露して応戦。もちろんジャッジのガリットチュウ・熊谷も「追い詰められて一言対決」でインタビュアーとして二人を追い詰める役割なのに、なぜか最後は自分が追い詰められたりと不安定な本領を発揮していた。私のベストアクトはストロボの中のRGダンス、ベストバウトは舞台のカーテンを開いて楽屋の奥行きまでを利用したのに、二人が普通の動きしかしないもんだから一瞬会場が現代前衛芸術イベントの空気に染まった「競歩対決」だ。
わざわざ記すまでもないが、二人は基本裸で死闘を繰り広げ、ハブは序盤の「おもしろタトゥー対決」で腹部にマジックで大書した「蝉丸」(蝉の字が微妙に間違えている)を2時間半も残したまま戦っていた。終盤戦になると、ハブはブリーフ一枚、RGは赤褌一枚にまで脱皮し、ライブはどこからどう見ても「元気な汁男優二人が力の限りを尽くして浮かれている」状態にまで昇華。やがて客の意識が「この意味ひとつない戦いは決着することがあるのか?」と朦朧としかけた頃、100本勝負は終了し、エンディングで熊谷が発表した勝敗の行方は「ドロー38、RGの勝利31、ハブの勝利31・・・・・・よってドロー!」。
まさかのノーサイドの結果に、裸で抱き合い健闘を称えあう汁男優二人。会場に得体の知れない感動と一体感が押し寄せ万雷の拍手が鳴り響く中、二人が客席中央に乱入して『LIVE STAND』のテーマソング「LAUGH! LAUGH! LAUGH!」を歓喜に任せて熱唱するのだった。私の目の前、顔と同じ高さで、椅子に上がったハブの尻が揺れていた。