中川家の特大寄席(ルミネtheよしもと)

新宿末広亭で定期的に開催している「中川家の寄席」の特大版。形態模写の箍(たが)がはずれて勝手にコントになってしまったようなコント「ドライブ」「旅行代理店」やら、コント「声優」のゲストとしてスコスコに中身のない業界人を演じたピース・綾部の安定感やら、見所はたくさんあったが、どうしたってこの日はサプライズゲスト・明石家さんまの登場である。私は最前列の上手にいたので、万雷の拍手を浴びる寸前のさんまのきびしい顔が見えた瞬間、予想はしていたけれど、それでも椅子からずり落ちた。
中川家との3人漫才において、さんまは過剰に脱線することもなく、段取りを間違える剛を無言で威圧しては、分かりやすいボケとプライベートの小出し暴露でコツコツと加点。漫才終了後は延々と粘るかと思いきや、あっさり舞台から去っていった。結構「ルールの人」なんだな、なんて感想はどうでもよくて、その消えていく赤いスーツの後姿が本当にカッコよかったんだ。拝みたい。
また注目は噂に違わないお笑い暴飲暴食ぶりで、楽屋に早く入って中川家の舞台を逐一チェックしていたのはともかく、ルミネのシステムを吸収したらしく「今度、ワンコインライブ出よか?」と発言。あの知らない芸人が知らないところで笑いをかっさらっていることにすらジェラシーを感じる貪欲な体質からすると、とてもリップサービスには聞こえなかった。ルミネのスケジュール表、それもワンコインライブ枠でちょくちょく見かける名前「ハイエナ」の正体はさんまかもしれない。なおさんまがいなくなった後、中川家の悪ふざけで舞台に呼びこまれたピース・綾部は、客が脱力しきってるのにかかわらず、堂々と笑いを取っていた。ハイエナよりも油断できない。