漫才しかできない vol.2(お江戸日本橋亭)

ロケット団、ホンキートンク、宮田陽・昇、ナイツの東京漫才若手四天王(社団法人・漫才協会公認)が揃い踏みしたうえにおぼん・こぼん師匠まで出演する掘り出しものライブへ。どんな寄席芸が見れるか? と期待で胸を膨らましているところ、総合司会として中津川弦という若干28歳の若手ピン芸人が登場した。全く体にフィットしていないダブルの純白ジャケットからして「やる」雰囲気をムンムンに醸し出していて、さらには第一声が「憂き世の中でございますが・・・・・・」。今まで数億のライブに足を運んだ私も聞いたことのない挨拶に鼓膜と心がシビれ、座椅子からひっくり返りながらこの興行の成功を確信する。
さて漫才四天王はいずれもキャリア10年弱とは思えないメリハリの利いた体技とスーツの彩色を見せつけ(ナイツ・土屋のコバルトブルーのスーツが保護色に見えるぐらいだ)、老若男女を手玉に取る快心の舞台。中でも初めて見た宮田陽・昇は「アメリカ50州を思い出す」という毒気のないネタなのに、時折はさむ下ネタが鋭いうえにいちいちどす黒いもんだから腹を抱えて笑った。まだまだ腕のある芸人はいるものである。
そしてライブの後半は客からお題を募って即興漫才するコーナーに。最後、客の拍手の量で優勝コンビを決めると、一体どういう展開でそうなったのか今や記憶も定かでないが、おぼん師匠の悪ノリによりネタ披露していない司会の中津川弦が優勝に輝いたのだった。絶好調の追い風が吹くナイツを抑えての偉業は見事の一言。これ以上強い風が吹いたらジャケットに受けてそのまま飛ばされそうだ。