ブラックマヨネーズのザ・1時間ライブ(よしもとプリンスシアター)

私の中では90年代のダウンタウン以来、久しぶりに現れたテレビバラエティの天使・ブラックマヨネーズの単独へ。蕎麦屋のコントは吉田が注文を聞かないおかしな出前という、昔のbaseよしもとで踏むほど転がっていたようなネタなのに、終盤にかけてそれまでの内容とはほぼ関係なく、客の小杉と電話でやりとりする吉田が「一度手を出したファンを冷たくあしらう勝手な芸人」キャラに変貌していくのが斬新すぎた。もうブラックマヨネーズは何をやっても面白いことになっている。
この日驚いたのは、「ゲストが来ている」というので、観客の100%が後輩の烏龍パークを予想していたところ、東京吉本の新進気鋭ハゲツープラトントレンディエンジェルが登場したこと。烏龍パークはボケの橋本が吉田と、ツッコミの加藤が小杉と相思相愛の、いわばブラックマヨネーズが全株式を保有するブラマヨホールディングスの小会社コンビ。最近の東京単独では必ず呼ばれて、吉田と小杉のプライベートを公開しては客の信頼を確実に勝ち取っていたのだ。その絆を断ってトレンディエンジェルが呼ばれるとは。トレンディエンジェルは小杉と初めて会った時、たくさん若手がいたにもかかわらず、「おまえらハゲてるから」という理由だけで特別にドリンクをおごってもらったらしい。芸能界に渦巻くハゲ利権の深さにうなる。
そしてそれ以上に驚いたのは、お互いの家を訪ねる幕間映像で昔の給与明細が出てきて、「ずぼりらじお」1回のギャラが3000円だったことである。あのギャラで「小杉式ナイスガイ」をやっていたなんて信じられない!(小杉が公共の場でナイスガイ演じる模様を毎週隠し録りし、あまりの試練の辛さにスタジオで「もういやや……」と嘆くが、フレディ・マーキュリーの『I was born to love you』が流れるや、突然「やったるでー!」とやる気を出す「ヒーハー」の世界観を具現化したようなコーナー)