書籍

あたし達の住んでいる街には/イムジン川が流れていて

初めて岡崎京子『リバーズ・エッジ』を読む。なんとなく敬遠してここまで来たが、読んでみたら面白すぎて降参。 それと並行して中上健次『枯木灘』も。これもよく考えたら舞台はリバーズ・エッジだ。川の上流では地縁の重力に押しつぶされた者が、下流では重…

8割が一コマ風刺マンガで占められたレディコミ誌

新宿紀伊国屋書店のコミック専門フロアでは、エスカレーターで上がった正面にアルバイト求人の告知が貼られている。いわく、 「コミックは好きですか? コミックを読みますか? 笑顔に自信がありますか? 当店はそんなあなたを必要としています」 上記の質問…

『誰が「本」を殺すのか』(一橋文哉・著)

読んだ本を恣意にぶちこむ本棚があって、そこに読み終えた津田大介『誰が「音楽」を殺すのか』を入れた。 するとそのすぐ横には、奇遇にも佐野眞一『誰が「本」を殺すのか』が置かれているではないか。 似たタイトルが並ぶこともあるのだなと思っていたら、…

兎の眼。義眼のバニーガール

松尾スズキ監督『恋の門』の主役ってソラシドの本坊?石原慎太郎の半生を追ったノンフィクション・佐野眞一『てっぺん野郎』を読む。 私は石原慎太郎が嫌いだ。デリカシーがなさすぎるから。 とはいえ案の定な唯我独尊ぶりが描かれるこの本は大作なだけあっ…

世界の中心で、「グヤジー」と叫ぶ。

今週の「週刊現代」に掲載された、東海林さだお「サラリーマン専科(第1741回)」がえらいことになっている。 舞台は居酒屋。縞スーツと無地スーツの若いサラリーマン二人が討議している。 縞「世界は愛なんだよ。愛が全てなんだよ」 無地「いやちがう!大切…

中核vs革マルvs郭源治

今さらながら立花隆「中核vs革マル」(講談社文庫)を読む。 私は中核派の拠点となった大学に通っていたにもかかわらず、70年代学生運動の全貌についてほとんど知らなかった。激しい内ゲバをエスカレートさせていく中核と革マルが、もとは革共同という組織か…

小泉(今日子)は森(雪之丞)派

この10年における総理の交代劇を追った、早野透『日本政治の決算』を読む。その中で抜群に面白い人物はどうしたって森善朗である。 失言を繰り返した森元首相を著者は「大まじめでどこかピンボケで、存外ユーモラスな政権だった気がする」「ひとつの守旧政権…

パークライフ?パールライス?

吉田修一『ランドマーク』(講談社)を読む。「村上龍氏絶賛」と銘打たれた帯のコピーは以下の通り。 「倒壊の陰にある希望、裏切りと同意語の救済。 閉塞と共存する解放、虚構に身を隠す現実。」 コピーライタースクールだったら確実に補習を5000時間は強い…