渋谷新人計画

あるツテで無料入場できるというので向かった、初めての渋谷新人計画。客席を席巻しているのは脳が小さいサイコロでできている女子高生たちなのかと思いきや、周囲を見回すとマナーのいい20代や落ち着いた夫婦が目立って、身内係数は学生演劇のような高さに。

この公演はルミネ芸人のヒエラルキーにおいては、舞台に上がれる最下層の枠(さらにその下には舞台に上がれないスーパーアンタッチャブル層もインド人口の9割を超える勢いで存在する)で、当然、中学生のお別れ会ですら教室を凍りつかせそうなレベルの芸人がちらほら混じっている。とはいえ真っ暗な深海で時折才能がペンライトのように光るのを見つけるのは楽しいものだ。

今回印象に残ったのはハリセンボンという女性コンビ。二人とも全身に枯葉剤を塗りたくって完全に世界から華という華を撲滅したような気の毒なルックスをしているのだが、ボケはセンスに、ツッコミは技術に鮮やかな色が見え隠れした。あと自衛隊上がりで元・新潟のお笑い集団NAMARA所属、北の極寒地から匍匐前進で抜け出てきたようなヒッキー北風というパワープレイ芸人も、典型的な“人生是芸人”タイプでたいへん気になる。

舞台に身内がいない私が唯一見守る視線を向けていたのは、POISON GIRL BANDのMCで、前回のMCが相当なていたらくだったらしく、作家にキレられて1年半もチャンスが回ってこなかったとのこと。今回見たぶんでは、なんだ結構喋れるじゃん、やっぱり脳のお笑い野が発達してるじゃんという感想。1年後にシアターDでそのMCする姿が見られることを期待している。