ダイノジ大谷・キングコング西野トークライブ(TOKYO CULTURE CULTURE)

多くの芸人にとって自分を語ることが”仕事”である中、自分語りが”気質”そのものという二人をまんまとブッキングしたトークライブへ。キングコング・西野が独演会で作りこんだエピソードトークをどんな姿勢で繰り出すのかに注目していたら、それを押さえてダイノジ・大谷が焼酎水割りをガソリンに、M-1グランプリの話題をイグニッションキーにして喋る喋る喋る。普通こうした珍しい顔合わせのトークライブの比喩には「水素+酸素=水」のような化学式が使われるけれど、二人が熱量の高すぎるお笑い論を交わす姿を見ていると「100水素+50水素=150水素」の化学式が頭に浮かぶのだった。そりゃ化学じゃなくて算数だ。
ところでアイドル仕様でデビューした後、自己表現・創作活動に目覚めるタレントは、「等身大」を訴えたいがために自分を汚す作業に夢中になる時期がある(堂本剛が病気を告白したり、若手女優が松尾スズキの舞台に立って卑猥なセリフを叫んだり)。だから西野が『西野公論』でオナニーのある生活や自堕落ぶりを強調したり、なぜかムード歌謡のシングルを発売するのも、汚れへの憧憬に突き動かされているものだと思っていたら、この日、大谷のUNCO話に呼応した時の表情が「眩しい」という言葉でしか表現できないほどキラキラしていて驚いた。あの顔は少年の記号としてUNCOの話に反応しているようには見えないし、純粋にUNCOが好きなだけなのかもしれない。高感度アップだ。ただそんなに芸人として汚れたいなら、1000の告白をするよりも1軒のスナック経営である。「スナックを潰さないためにも僕は頑張らなアカンのです」ってM-1に乗り込んだら、私は全面的に応援するだろう。