RGvsハブ ジャッジ熊谷(シアターD)

komecheese2009-05-24

100に及ぶ対決を提示された”天才・天才・天才”Bコース・ハブと”カリスマ・カリスマ・カリスマ”レイザーラモンRGがお笑いセンスと身体能力というより己のバイタリティだけで鎬を削り、それを成長著しいガリットチュウ・熊谷が闊達に裁く、大喜利の進化系にして終着地点ライブ。この日、くしくも両国国技館では14勝1敗の白鵬日馬富士が優勝を賭けた一番を行っていたが、いつものように肌着のブリーフ1枚と白褌で現れたハブとRGも堂々たる横綱の風格。会場は全盛期の逆鉾大徹が負け越しを争って前褌を奪いあうような殺気に包まれた。
そんな2人の肉弾戦は当然のように延々と面白く、「相手を罵倒した後強く抱きしめる対決」「リアル池の鯉対決」「お鍋の中からボワッとインチキおじさん登場対決」「『抱きしめてトゥナイト』のメロディでお互いをdisる対決」「替え歌の中にこっそり「チンコ」を挟み込む対決」「リアル・ありがとう対決」「リアル・ごめんなさい対決」「ババぬき対決」など、100勝負のうち「思いついた芸能人がオナニーのネタとして有か無か対決」以外は全てが屈指の名勝負で、うっかり休憩の5分まで面白くなるところだった。中でも「会場に落ちてる陰毛を早く捜す対決」で、陰毛を発見して「あなたのおかげです」と最前列の女性客に感謝するハブ、「あんたわざと落としたんだろー」といちゃもんをつけるRG、その抗議を「ノー!」の叫びだけでかき消すジャッジ・熊谷のスリーピース演奏は、バカバカしいだけの反芻と音圧に会場が悶絶。うまく説明できないけれど、こんなしょうもないものを見せられたら自殺志願者も無意味に生きる気力が湧いてくる気がする。
はたして100本の対決が終わり、結果は39勝33敗28ドローでRGの勝利に。舞台上でノーサイドをたたえて抱き合う二人。全ての観客は思った。もうどちらが勝った負けたなんて関係ない。そんなことより時計が23時を回ってるから早く帰してくれと。そして終演後、会場の出口では RGとハブが特製ポストカード(画像)を一枚ずつ観客に手渡ししていた。ハブがひょっとこの顔マネをしているのは分かるが、RGは誰のつもりなんだろう。村越周二か?
感想おしまい。そして最後にもうひとつ蛇足を。
私はこの日、ライブへと向かう半蔵門線根本敬の新刊『特殊まんが前衛の道』を貪り読んでいて、内田裕也のロックンロールエピソードに心底シビれていたら、『RGvsハブ』でも「裕也さんになりきってシェゲナベイベー対決」が行われた。さらに「ストロボの中、雷に打たれる対決」の最中、会場の外では東京が騒然とするほどの突発的雷雨に襲われるミラクルも。まさに根本敬であれば「空気の中の電気菩薩」「SOUL電波が反応」「偶然完全」「因果の地下水脈」などの言葉を駆使して語るであろうシンクロニシティだ。というかこの目の前で行われているRGとハブの無益な戦いこそ、根本の名言「でも、やるんだよ!」を体現した世界ではないのか。
そんなことをつらつら考えながら、後日、根本敬町山智浩が登場したMXテレビ番組の録画を手に汗握って見ていると、横にいた猥婦が「この2人、声カン高くて早口だから何言ってるか全然分かんねー。オタクなんでしょ?」と一言。正論・ネヴァー・ダイ。でも、やるんだよ!