やんべえ15(劇場バイタス)
このライブにおいてのみHollywood ケネディ zakoshisyoを名乗るハリウッドザコシショウが、新宿の地下壕で8bitの世界観を撒き散らし、それに薫陶を受けた後輩たちが基本ブリーフ姿で追随の姿勢を惜しげもなくさらす世にも酔狂なライブ。ネタ(銅鑼が鳴り響く中、豆腐を握りつぶしながら絶叫)、トーク(午前3時に彼女の部屋の扉を蹴り続けて絶縁を受ける)、企画コーナー(タマキン引っ張り耐久レース)の全てが「荒くれ」の一言で説明できる空間はこの他にあるまい。トークコーナーでザコシショウが「こないだ『LIVE STAND』に出演してミスチルの桜井漫談やったら大観衆の前で見事にスベってよー」と嘆いたら、話を聞いていたコンビ・バイきんぐが「そんなことあるんですか!?」「あの鉄板ネタが!」と二人とも真顔で驚いていた。本当にこの国は自由だ。
なお私の横にいた客は会場が暗転して2秒以上経つと、すぐに携帯電話を開いてはゲームに励む始末。気が散るので注意しようと横を向くと、スキンヘッド&眼鏡の容姿にくわえて、どういう訳か携帯をほとんど眉間にこすりつけているではないか。ライブの内容が内容なので本物の機智GUYである可能性は低くない、というかそうでない理由が見つからないし、足元に視線を落としたらスリッパに病棟名が書いてるかもしれない。私はナースコールしたい気持ちをぐっと堪えて、シーツを抱いて静かに震えていた。そして終演後、足早に去っていくスキンヘッド。私は何事も起きなかったことを婦長に感謝しながら帰ろうとすると、あろうことかさっきのスキンヘッドが会場出口でスタッフとして客に挨拶していた。ギャフン! 本物のやんべえ(=やばい、やべえの意)は君だ。