松竹ピンキャラカタログ(しもきた空間リバティ)

ここ近年、R-1ぐらんぷりでひと山当てようと、ピン芸人以外のピンキャラ開拓が目立つ。さらにそれをイベントにするのは業界人に向けたプレゼンにしか見えなくて気分が冷めるが、冠に「松竹」とついた途端、「なんか分からないけど頑張ってチャンスつかめ」と応援したくなるから不思議。それどころかとんでもない光景が見れそうな予感がして、つい会場へ向かってしまうのだった。
登場したのは全22人で、オジンオズボーン・篠宮によるデトロイトメタルシティ漫談や、アメリカザリガニ・柳原による「サイレントますだおかだ」など、完成度の高いキャラと芸が散見される中、最高だったのが春田和幸の郷ひろみ漫談である。郷ひろみのモノマネといえば昨年末「オールザッツ漫才」で披露されたクロスバー直撃・渡辺のそれが史上最低のクオリティで注目を浴びた中、春田はマユを太く描くことすら放棄し、気の弱い放送作家にしか見えないヒゲ&眼鏡の外見でひろみにトライ。その完成度はクロスバー直撃・渡辺の設定した低いバーをクロスも直撃もせず、見ているうちに「最初から似せようという気はあるのか?」はおろか、「彼は郷ひろみを知ってるのか?」という疑問がむくむく湧いてきて、目が一瞬たりとも離せなくなった。
なおこの日のライブはひとりひとりの芸人紹介がなかったため、ピンのキャラクターと芸人の名前がほとんど一致せずに終わる。なので数日後「松竹ピンキャラカタログ」の単語で検索をかけてみると、水揚げされたサイトの8割が出演した松竹芸人によるブログだった。なんか分からないけど頑張ってチャンスつかめ、と応援したくなる。