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外の雨音を聞きながら家で読書をしていたら、ものすごいスベリ臭が漂ってきた。風上をたどっていくと両国国技館にたどりついたので、当日券を買ってアントニオ猪木が主催するIGFの興行に潜り込んだ。
会場内に4000人分の笑いが渦巻いてるなあと思って見渡すと、8000人の客が半笑いをしている。はたして試合も微苦笑の連続だった。怒りや笑い、そして感動が胸を切り裂くことなくひたすら微苦笑。そして全試合が終わって30分後、東京東部在住の私は家でビールを飲んでいた。
なんだろうこの感じは。そうだ。実家にいた時、近所の体育館へ地方巡業のプロレスを見に行った時の気持ちにそっくりなのである。とりあえずデカい外人レスラーが3人いることだけが売りのシリーズで、プロモーターにもリングサイドの地場関係者にも波風立てずよろしくこなした感じ。その光景を3000円の席で見て、帰って週刊プロレスをめくって語るべきことなく眠る。あの国技館のリングにいたのはカート・アングルやブロック・レスナーやジョシュ・バーネットじゃなくて、スコット・ノートンとザ・グラジエーターとnWoスティングだったんじゃないか。どのみちワキを固める仕事人がいなかったことだけは確かだ。だから私は、語るべきことなく眠る。